京都市の中心部、烏丸五条通りに「悪王子町」という珍地名が存在します。
悪王子と聞くと漫画のキャラクターを連想してしまいますが、かつて悪は【強い力】という意味を表す言葉であり、悪王子という地名は素戔嗚尊(スサノオノミコト)の勇猛心を祀る悪王子社に由来しています。詳しい様子を写真と共にお伝えします。
なぜ「悪」王子?地名に隠された意味

悪王子町の由来となった「悪王子社」は素戔嗚尊(すさのおのみこと)の荒魂(あらみたま)を祀る八坂神社の摂社です。素戔嗚尊は、日本神話に登場する神様で、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治し、勇猛果敢な性格から「荒ぶる神」として知られています。
荒魂とは
神道における神様には、和魂と荒魂の側面があると考えられています。
・和魂(にぎたま)は優しく平和的な霊力
・荒魂(あらみたま)は勇猛さの反面、粗野で、時には人に祟りを及ぼすような霊力
悪王子社はスサノオノミコトの荒魂を祀っています。
つまり、「悪王子」とは、邪悪な王子様を指すのではなく、**「力強い王子様」**という意味なのです。
悪王寺子社は豊臣秀吉の都市改造を経て、何度か移転されており、現在は八坂神社の境内に鎮座しています。
ちなみに、悪王子社が元々あった場所は「元悪王子町」として地名が残っており、記念碑とその分霊が祀られています。
悪王子社|お社・ご祭神|八坂神社 https://www.yasaka-jinja.or.jp/shrine_deity/akuojisha/



悪王子町の景色

烏丸五条の交差点のすぐ北側に、「悪王子町」が位置しており、これより北の四条烏丸付近に「元悪王子町」が位置しています。いずれも京都観光の際は必ず通ると言っても過言でないほどの大通りに、歴史深い珍地名があるのが何とも京都らしい風景ですね。
ただ、「悪王子町」に関しては当時の名残は一切残っておらず、鉄筋コンクリートのマンションやオフィスビルが整然と立ち並ぶオフィス街となっています。


元悪王子町の景色

元悪王子町には石碑や分霊を祀るお社があることに加え、昔ながらの風景を思わせる路地が残されています。長屋の各入り口には消火栓が備え付けられており、その入れ物となっている木箱に「元悪王子町」と記されていました。

その他の珍地名もご紹介
京都市には悪王子町の他にも、「閻魔前町」「二帖半敷町」「大将軍」など面白い珍地名が多く存在します。なかでも「天使突抜通り」は悪王子町から少し歩いた場所に位置するので合わせての訪問がおすすめですよ。
アクセス
悪王子町
https://maps.app.goo.gl/8HnbJk4rXDM7CDQT6
元悪王子町
https://maps.app.goo.gl/ZfmuEowGuX7HdGbx6