青森県立美術館のシンボルとして知られる「あおもり犬」は、現代美術家・奈良美智の作品です。高さ8.5メートル、横幅6.7メートルのその巨大な姿は、美術館を訪れる人々を圧倒します。どこか寂しげな表情と背中を丸めた姿はシンプルでありながらミステリアスな雰囲気。青森県立美術館の魅力とともに、あおもり犬の様子を詳しくお伝えしたいと思います。
青森県立美術館の外観の様子

青森県立美術館は、その洗練されたデザインと豊かな自然との調和が印象的な美術館です。真っ白なレンガが積み上げられたデザインの外壁は、青森の冬景色を思わせる、どこか清涼感のある印象を与えます。壁面に配置されている美術館のシンボルマークは、青く光る木々をモチーフにしており、生命力と青森の豊かな自然を象徴しています。
青く光るシンボルマークは木をイメージしており、沢山の木が合わさって森を表現している。
青く光る森で青森だ。


設計を務めたのは「ルイ・ヴィトン表参道ビル」を手がけた建築家「青木淳」。まるで美術館そのものが一つのアート作品であるかのような感覚に陥ります。
青森県立美術館に多数所蔵の奈良美智作品

青森県立美術館は青森県出身の芸術家のコレクションを多数所蔵しています。「あおもり犬」は弘前市出身の奈良美智氏によって制作された作品。挑戦的な眼差しをした少女の絵で有名な現代美術家です。

あおもり犬の様子

あおもり犬は建物外に展示されているので、無料で鑑賞することが可能です。通常なら間近で鑑賞できますが、冬期は雪などの影響であおもり犬近くへの連絡通路が閉鎖されていることがあるので、公式HPを見て詳しい状況を確認しましょう。
あおもり犬が地中に埋まっている理由

あおもり犬の姿を観察してみましょう。体が地中に埋まりどこか寂しげな表情と背中を丸めた姿が印象的だ。まるで、太古の時代に埋もれていた何かが、現代に甦ったかのよう。
この作品にはどんなメッセージが込められているのだろう??その答えには「三内丸山遺跡」が深く関係しています。
トレンチをモチーフにしたあおもり犬
三内丸山遺跡は青森県立美術館と隣接している日本最大の縄文遺跡です。青森県立美術館の建築テーマは「遺跡発掘」。遺跡発掘で用いられる手法「トレンチ(溝)」をモデルに設計されています。
以下写真は三内丸山遺跡で展示されていたトレンチ調査の様子です。土を溝状(トレンチ)に除去し、地層状況を確認することによってこの場所がゴミ捨て場だったと明らかになりました。

あおもり犬が展示されているスペースと発掘風景が重なって見えませんか??

つまり、あおもり犬は発掘途中の状態を表現しているのです。
あおもり犬の寂しげな表情は、単なる犬の姿を超え、失われた何かを象徴しているのかもしれません。それは、縄文時代の人々が持っていた自然との共生、あるいは、現代社会で失われつつある大切な何か。複雑化した現代社会の中で、私たちは本当に大切なものを忘れてしまっているのではないかと、この作品は問いかけているのかもしれませんね。
八角堂も見逃せない
敷地内にもう一点、奈良美智氏による大型作品が存在します。作品が展示されている場所は「八角堂」と呼ばれる建物です。

八角堂の通り、八角形の建物に「Miss Forest / 森の子」が展示されています。仏像のように穏やかな表情の作品です。

日本最大のシャガール作品がここにある
青森県立美術館には他にも見どころが多数存在します。その中でも、マルク・シャガールの壮大な舞台背景画「アレコ」は、必見の作品と言えるでしょう。

美術館の中心に設けられた強大な吹き抜け空間である「アレコホール」に作品は展示されています。高さ約9メートル、横約15メートルと規格外の大きさから放たれる鮮やかな色彩と幻想的な世界観は、見る者の心を掴み離さない。
このアレコホールは、絵画鑑賞だけでなく、コンサートや演劇、ダンスのパフォーマンスも行われる多目的スペースとしても活用されています。シャガールの絵画を背景に、様々な文化に触れることができるのもこの美術館の魅力の一つです。

まとめ
青森県立美術館には「あおもり犬」という大迫力の作品が展示されていました。物寂しげな表情が魅力的で、地中に埋まった姿は隣接する日本最大の縄文遺跡「三内丸山遺跡」と関連が深くとてもミステリアス。見ている人の心を動かす作品でした。また、超どでかい作品も展示されていました。最後までご覧いただき、ありがとうございました。
アクセス
住所:青森県青森市安田字近野185
TEL:017-783-3000
営業時間:9:30~17:00 (入館は16:30まで)
夜間入場が可能なナイトミュージアム期間もあり
定休日:毎月第2、第4月曜日 (祝日の場合は翌日)、年末年始
料金:【常設展】一般510円 大学生・高校生300円