徳之島を含む奄美諸島では咬傷(こうしょう)被害防止の目的で自治体が生きたハブを買い取る制度があります。沖縄にもハブは生息していますが、沖縄にはない制度です。
今回紹介するのは、徳之島の天城町役場の敷地内にある「ハブの館」。島民が生捕りしたハブを役所が買い取り一時保管している場所で、シャッターに描かれた手書きのハブの絵と動物園の一角にあるようなガラス張りの建物が印象的です。
ただ、島外の価値観からすると危険な生き物を島民が捕まえていることにビックリで、しかも役所が買い取って展示もしちゃっていることにもビックリ。めちゃくちゃ違和感がある。詳しい様子をお伝えします。
ハブの館は役場敷地内にある
ハブの館がある天城町は空港や犬の門蓋、ムシロ瀬など徳之島の有名観光地が位置する町です。ハブの館はそんな天城町役場の敷地内に位置しています。戦隊ヒーローの基地のような外観の役場を正面に敷地右側にポツンと館が佇んでおり、拝観料は無料。「勝手に見ていって良いよ〜」という雰囲気の施設です。
シャッターがカッコいい「ハブの館」の外観
これが『ハブの館』。やかたという不気味なネーミングとシャッターに描かれたハブの紋様が恐怖感を実直に演出しています。
シャッターは閉まっていますが、シャッターを自由に開けて拝観可能です。館の側に立札の説明書きがあります。以下内容。
ハブをご覧になられる方は、ご自由にシャッターをお開けください。ご覧になった後はシャッターを閉めてください。(日光によりハブが弱ってしまうため)
くらしと税務課
ハブの様子
シャッターをガラガラと開けるとハブ発見!
「でた!」ハブだ!!内部には木でできた登り木と水場が設置されていて隅の方で3匹ほど固まっていました。夜行性のためか、動きはなく「生きているのか?」と疑問に思うほどゆっくりとしていました。
ハブの特徴は三角形をした頭と2本の牙。牙はパイプ状になっており注射針で獲物に毒を注入しやすい仕組み。ハブの毒は出血毒で噛まれると、激痛と腫れが広がり筋肉が溶ける。そんな危険生物のハブを間近で見たのは初めてだ!
住民から買い取ったハブを展示
徳之島、奄美大島では咬傷(こうしょう)被害防止の目的で自治体が生きハブを買い取る制度があります。このハブの館のハブはその事業で役場が住民から買い取ったハブを展示しているというわけ。
ハブ捕獲奨励買取事業
ハブ捕獲奨励買取事業による買い取り額は「3千円」です。ハブを複数捕獲すれば、かなりの金額になることもあり、副業的にハブを捕まえる人もいます。
「HABUDASU2024年 令和6年3月発行」というめちゃくちゃいかしたネーミングの保健所発行のハブ対策推進協議会情報誌によれば令和5年のハブ買上数 17,693匹。うち徳之島では7,442 匹を買い上げたと発表されています。
多くの島民はハブの扱いには慣れたもの。自分の知る徳之島の人々は本島で車に傘を積むような感覚でハブ取り機を常備していました。また、「母間ちゅっきゃい節祭り」という地域祭りではくじ引き大会の目玉商品にハブ取り機が用意されるほどです。徳之島の人々とハブの距離は非常に近い印象です。
アクセス
住所:〒891-7692 鹿児島県大島郡天城町平土野2691-1
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TEL:0997-85-3111(代表)
営業時間:土日も空いています。自由に拝観OK。