約2万基の使われなくなった墓石が供養されているお寺「妙楽寺」。雛人形の形式で、墓石が静かに並んでいる姿に厳粛な空気が漂っていますが、斜面に沿ってギチギチに並んだ墓石は一つの巨大な建築物のようにも見えてとてつもない迫力があります。
詳しい様子を写真とともにお伝えします。
L字に配置された大量の墓石群
愛知県の豊田市の山中に妙楽寺は位置しています。このお寺、1980年代頃から少子化などで後継がおらず管理されなくなった墓石や訳あって使用されなくなった墓石などを引き取り供養している。
使用されなくなった墓石とはいえ、「こんなもの見たことないね」とはしゃいだ気持ちで見るのは慎みましたが、先祖を祀るために作られた墓石がギチギチに敷き詰められ供養されている姿は、人間の生き死にについて考えさせられる風景です。
本堂から登った先に一般的な墓地があり、墓地をL字型に囲むように供養された墓石群があります。場所が不足しているのか?一般的な墓地はきちんと区画され、参拝者がいる様子が伺えますが、周りは使用されなくなった墓石群が取り囲む。そのコントラストが無機質で素人目には特異に映ります。
墓石群の長さは全長約40m、高さは約4〜5mぐらい。静寂と重々しさが漂っており、重厚で巨大な建築物のようにも見えます。
彫像も混じっている
使用されなくなった墓石群をよく見ていると、ひょっこりと飛び出た顔にギョッとする。なんだ像か。学校や会社の庭に飾られるタイプの彫像や観音像、狐像、はたまた洋風の少女モチーフの像から、スフィンクス型の像まで様々なタイプ石像も供養されています。モチーフとした人の人相がバッチリと伝わるぐらい精巧な物もあり、これだけの物を作ろうとなるとかなりの費用がかかったのではないかな。
キリスト教や旧日本陸軍歩兵関連のものまで
十字架が記されたキリスト教と仏教様式がミックスされた墓石や、旧日本陸軍歩兵関連の墓石もありました。
墓の墓場を見て思うこと
「墓の墓場がある」と珍しいもの見たさで訪れましたが、いざ目の当たりにしたとき、胸の内に複雑な思いが広がりました。
かつては誰かの記憶を刻み、大切な存在を偲ぶための場所だったはずの墓石が、今ではギチギチに積み上げられ、忘れ去られた存在となっている。「この素材だったら長持ちするだろうし値段は高いがこれにしよう」「死んだじいちゃんは喜んでくれるかな・・・」そんなやり取りもあっただろう。
しかし、時代とともに人々の思いが薄れ継承される必要がなくなっていった。愛された者たちの記憶が、忘れ去られてしまったのだ。誰の記憶にも残らない墓石が、まるで人生の儚さや無常さを象徴しているかのように見えた。それでも、墓の墓場の風景は大切な人々を思い出し、彼らの存在を忘れないことの大切さを教えてくれる場所でもあるのかもしれない。過去の記憶と向き合い、未来へと受け継いでいくべき思いを再確認することができた。
妙楽寺敷地内の見どころ
妙楽寺トライアル場
妙楽寺トライアル場は、お寺駐車場の周囲の土の斜面と岩を利用した初心者から上級者まで楽しめるコースが設定されている。奥の斜面を降りていくと、林間コースが広大に広がっており、大会も開催されるほどの場所なんだとか。
休み茶屋
トライアル場を利用する際は、こちらで料金を支払う。メニューが充実しているため、訪問した際は昼食にいかがでしょうか。
【営業時間】 | 午前9:00~午後5:00 |
【定休日】 | 木曜日 |
【電話】 | 0565-90-2971 0565-90-2853 |
松平出雲守長親の古屋敷
妙楽寺の敷地内には、江戸時代まで松平氏の領地でした。松平出雲守長親の古屋敷が現存しています。
近くのおすすめスポット
ジブリパークからすぐ近くにある日本で唯一の宗教テーマパーク【五色園】
アクセス
住所:愛知県豊田市花沢町上根引2-1
詳しい場所をGoogleマップで確認する。
拝観時間:9:30~17:00
料金 :無料
駐車場 :有
公式HP :根引山妙楽寺 公式サイト