大阪の万博記念公園に、あまりにも異質なオーラを放ちながらそびえ立つ、あの「太陽の塔」。誰もが一度は写真で見たことがあるであろう岡本太郎の魂の結晶。その異様なまでの存在感に「この塔の中って、一体どうなってるんだろう?」と、子供の頃から漠然とした疑問と好奇心を抱いていた方も多いのではないでしょうか?
正直、入る前は「まあ、すごいんだろうけど、展示物とか見て終わりかな?」くらいに思っていたのですが、甘かった。まるで巨大な生き物の体内を探検しているような感覚、あるいは時空を超えたアートに魂ごと揺さぶられるような体験…。太陽の塔の内部はとんでもない空間が広がっています!

今回は、そんな太陽の塔の内部が 「いつまで公開されているのか?」 「ぶっちゃけ、お金と時間をかけて行く価値はあるのか?」 という疑問にお答えしつつ、予約方法から内部の様子、そして私が感じた衝撃を、体験したての熱量そのままに、余すところなくレポートします!
※2025年4月にレンタルスマホケースを利用して写真撮影をしました。
そもそも太陽の塔って? – 簡単おさらい

ご存知、芸術家・岡本太郎が1970年の大阪万博のために制作したテーマ館の一部。高さ約70メートル、てっぺんには未来を象徴する「黄金の顔」、正面には現在を表す「太陽の顔」、そして背面には過去を示す「黒い太陽」が描かれています。まさに「芸術は爆発だ!」を体現したような、唯一無二の存在ですよね。
当初は閉幕後解体される予定だった太陽の塔。小中学生を含めた保存運動が起きて1975年に永久保存が決定しました。


【最重要】気になる内部公開はいつまで? 期間限定じゃないの?

「太陽の塔の内部って、特別公開とかで期間限定なんでしょ?」と思っている方、いらっしゃるのではないでしょうか?
ご安心ください!太陽の塔の内部は、2018年3月から「常設展示」として公開されています!つまり、「いつまで」という期限は設けられていません。
超重要ポイント:内部見学は【予約制】です!でも当日飛び込みでも参加できるかも
老朽化による大規模な修復・耐震工事を経て、約半世紀ぶりに一般公開が実現した太陽の塔の内部。その貴重な展示空間を保護し、見学者が安全かつ快適に鑑賞できるよう、入場者数が厳しく管理されています。2018年の公開当初は予約が取れないほどの混雑状況でした。しかし、現在は公開から数年経ち入場者数が落ち着いた状況です。平日なら、飛び込みでも見学が可能な様子でした。確実に見学したい場合は予約がおすすめです。
「太陽の塔」オフィシャルサイト(大阪府日本万博博覧会記念講演事務所)https://taiyounotou-expo70.jp

予約完了後メール(QRコード付き)が届きます。太陽の塔の内部見学には万博公園入園の料金も含まれているので、公園入り口の受付で係員に見せる必要があります。間違えて入園料を払わないように気をつけてくださいね。間違えても後から返金してもらえます。
専用ケースをレンタルすれば写真撮影OK!(※2025年現在)

写真撮影はレンタルスマホケースを使えば可能です。太陽の塔の内部見学は階段で登っていく形式。柵から乗り出して撮影中にスマホを落として、歩いている人に怪我を負わせないためにストラップがついています。当日受付でレンタル料は500円。同意書を書いてレンタルをする必要があります。
スマホをケースに入れた状態で撮影できるか不安でしたが、ケース越しでも問題なく撮影できました。



太陽の塔の内部見学レポート

1970年の大阪万博では太陽の塔が単独で存在していたわけではなく、手前には動く歩道付きの地下展示、その先に空中展示(太陽の塔を取り囲むようにあった大屋根の内部)がありました。現在は地下展示と大屋根は解体され、当時の面影はほとんど残っていません。太陽の塔内も耐震的な問題からコンクリート壁は20センチ厚くなり、備え付けられていたエスカレータも軽量化のため階段に置き換えられるなど、当時の状況と異なっています。
しかしながら、現存する資料から雰囲気や世界観が再現されており、その違いまでも丁寧に解説されているため時空を超えた太陽の塔鑑賞ができるため非常に面白い。以下見学して感じたこと、面白かったことをレポートします。

地底の太陽ゾーン – 魂の故郷へタイムスリップ?

まず足を踏み入れるのは、「地底の太陽」ゾーン。一歩入った瞬間、外の喧騒が嘘のように薄暗く、ひんやりとした空間。壁面には、黄金に輝く地底の太陽を中心に世界各地から集められた民族の仮面や神像が並んでおり、人類共通の祈りや畏怖の念といった、無意識の領域に触れるような感覚を覚えます。まるで古代文明の遺跡に迷い込んだような不思議な感覚。


中央に鎮座するのが、「地底の太陽」。高さ約3メートル、幅約11メートル。闇の中に佇む地底の太陽はどこか呪術的で、人間の根源的なエネルギーをむき出しにしたような強烈な存在感を放っています。地底の太陽は閉幕後に行方不明となっていましたが、国内フィギア製作の最王手の「海洋堂」協力のもと復元されました。壁面や地底の太陽に赤や青の光を使った幻想的なプロジェクションマッピングが映し出され、荘厳でミステリアスな音楽が低く響き渡ります。
生命の樹ゾーン – 圧巻!生命力が渦巻く!

いよいよ塔の中心部へ。「!!!!!!!!」言葉を失うとは、まさにこのこと。塔の内部空間を天に向かって突き抜けるように、一本の巨大な樹。これが一番の見所「生命の樹」です。高さは約41メートルで下から見上げると、その先端は遥か上空。赤を基調とした鮮烈な色彩でグロテスクながらも美しい造形が空間全体を支配しています。

塔内には多彩な光が降り注ぎ、念仏と映画スターウォーズのOP、民族音楽を合わせたような独特な交響曲「生命の讃歌」が響き渡ります。不気味でありながら、心臓の鼓動を高鳴らせるような不思議な曲。壁に目を向けると、内臓のヒダのような突起物があり、音響効果を高める役割があります。

私は子供連れで訪れました。独特な世界観と音楽に子どもが泣くか心配していましたが、圧倒されて逆に静かでした。子どもにも伝わる凄さ!

この生命の樹は、生命の流れやエネルギーを表現しています。一番下の根元にはアメーバやクラゲなどの原生生物。そこから樹の枝々を辿るように、魚類、両生類、爬虫類、そして哺乳類、最上部の人類へと、約40億年の生命の歴史が精巧に作られた生物模型(FRP製)で立体的に表現されています。その数、なんと33種183体!

生命の樹の枝は青や赤、黄などの動脈静脈、リンパや神経のように広がっており太陽の塔の胎内を覗いているようです。樹が天に伸びている様子は生命力が間欠泉のように根源から未来へと一気に噴き上がっているような勢いを感じます。
螺旋状の階段をゆっくりと上りながら、この生命の樹を様々な角度から鑑賞していきます。


アンモナイト、三葉虫、シーラカンス、翼竜、マンモス…教科書で見たことのある生物たちが、デフォルメを加えつつ力強く表現されています。一つ一つが、まるで今にも動き出しそうな生命感を宿しているかのよう。階段を上るにつれて、生き物が哺乳類へと進化していく•••!なんだか進化の壮大な物語を体感しているような気分になります。「人類は、この長く壮大な進化の歴史の、一部に過ぎないのかもしれない」。

印象的だったのが、頭の骨組みが露出したゴリラ。当時は機械で駆動する仕掛けが施されていました。当時の面影を残すべく、あえてこの状態なのだそう。

生命の樹の頂上でにいるのは3人のクロマニヨン人。1人は子供で過去から連なる進化の最先端で遥か未来の天空を見上げてちょこんと腰掛けています。本来ならクロマニヨン人の次は我々、現生人類(ホモ・サピエンス)のはず。なぜ岡本太郎は、進化の頂点であるはずのホモ・サピエンスをなぜ置かなかったのでしょうか?

ホモサピエンスはあえて作らなかったのは万博が掲げた「人類の進歩と調和」というテーマに対し、「本当にそれが進化のゴールなのか?」「進歩の果てに何があるのか?」という根源的な問いを投げかけているのかもしれません。技術は進歩し、社会は複雑化しましたが、私たちはこれまで表現されていた生き物がもつ、自然と対峙する力強さや、生きることへの純粋なエネルギーをどこかに置き忘れてきてしまったのではないか…?
天空を無垢な瞳で見つめる子供の姿は、希望の象徴であると同時に、まだ形定まらぬ未来の不確かさをも示唆しているように感じられます。我々ホモ・サピエンスは進化の終着点ではなく、この子供のように、常に未来を見つめ、自らの進むべき道を探し続けなければならない存在なのだと。

遥か未来の天空を見上げるクロマニヨン人の子供。その小さな背中は、私たち鑑賞者に「あなたたちは、これからどこへ行くのか?」と、静かに問いかけているようです
太陽の塔の両腕もすごい!ワープホールみたい

生命の樹を登り終えると、太陽の塔の両腕にたどり着きます。万博当時は太陽の塔の右腕部分にエスカレーターが設置されており、空中展示へと繋がっていました。今はエスカレーターが取り外されていますが妖しいライティングで照らされ、皮膚組織のように連なった鉄骨は不思議な造形美をまとわせています。

万博当時の様子や地下展示・生命の樹・空中展示がパネルで紹介

生命の樹と両腕の見学の後、登ってきた階段とは別の階段で出口に向かいます。その階段の壁面に、万博・太陽の塔の構想段階の資料や万博当時の様子が示されたパネルが展示されていました。

復元された生命の樹に感動していましたが、パネルで当時の展示の全貌を見ると今よりもさらにスケールの大きい展示だったことがわかります。また、万博の作り手たちの情熱や、未来への希望に満ちていた時代の空気感が伝わってくる展示でした。




アクセス
- 公式HP:https://taiyounotou-expo70.jp
- 住所:大阪府吹田市千里万博公園 万博記念公園内
- 電話:0120-1970-89 (万博記念公園コールセンター)
- 時間:10~17時(最終受付は16時30分)。万博記念公園は9時30分~17時(入園は~16時30分)。詳細は公式サイトを要確認
- 定休日:水曜日
- 料金:入館大人720円、小・中学生310円。予約優先、空きがあれば当日券の購入可。別途万博記念公園(自然文化園・日本庭園共通)入園料大人260円、小・中学生80円が必要。