ひとりのハンターが作り上げた私設ミュージアム、「滋賀サファリ博物館」。 ここに展示されている剥製のクオリティは個人館の枠を遥かに超えています。
浮き出る血管や筋肉の細部に至るまで再現された動物たちは、美しくも圧倒的な迫力。
詳しい様子を写真と共に紹介します。
毛並みから血管まで!超リアルな剥製を間近で観察する興奮

館内に足を踏み入れると、そこは二つの展示ホールに分かれています。
まず入口すぐの部屋では、巨大なホッキョクグマやヘラジカといった大型動物の剥製が来館者を迎えます。
奥行きのある空間には、彼らが生息していたであろう自然の風景がペイントされていて、今にも動き出しそうな動物たちが迫ってきます。

反対側の壁面には、数えきれないほどのハンティングトロフィー(壁掛け剥製)が所狭しと飾られていました。
間近でじっくり観察すると皮膚の下に浮き出た血管のリアルさや、一本一本の毛の質感、湿り気を帯びたような鼻先の細かな凹凸まで見て取ることができ、その精巧な作りに驚かされます。


世界最大のヒツジ「アルガリ」を間近で!捕獲困難なその雄姿

館内には世界最大のヒツジ「アルガリ」の剥製も展示されています。
私たちが知る「可愛いヒツジ」とは次元が違う、まるで牛のような圧倒的なスケール。全長2メートルで体重180キロという圧倒的なスケールを誇ります。
中央アジアの険しい高地に生息し、めったに人前に姿を現さないことから「幻の動物」とも呼ばれるアルガリ。
太くねじれた角と、圧倒的な質量の巨体を間近で観察できるのはとても貴重な体験です。
WWFジャパン
野生ヒツジの王様、アルガリの話(動画あり)https://www.wwf.or.jp/staffblog/tips/161.html
アフリカの鼓動を感じる!絶滅危惧種シロサイもいる!

渡り廊下を抜けると、そこは野生の息吹が満ちる「アフリカ館」。
ライオンやキリンといったサバンナの象徴的な動物たちに加え、絶滅の危機に瀕しているシロサイなど、迫力ある猛獣たちの剥製が来館者を圧倒します。

必見!世界4大珍獣「ボンゴ」~その生態と、比較でわかる雌雄の魅力~

アフリカ館の見どころの一つが、世界4大珍獣にも数えられる「ボンゴ」です。
鮮やかな赤茶色の体毛に、美しく浮かぶ白い縞模様。
この模様が深い森の中で保護色となり、人の気配を感じると瞬く間に姿を消してしまうことから、「森の魔術師」という異名を持っています。
野生ではその姿を捉えることすら困難な動物ですが、ここではなんとオスとメスが2頭並んで展示されています。
特にオスの角は立派で、中には1mを超えるものもいる。
夫婦で異なる体格や角の大きさ、そして「魔術師」と称されるその美しい姿をバッチリ観察しましょう。
滋賀サファリ博物館|滋賀県博物館協議会 https://sam.shiga.jp/滋賀サファリ博物館/
剥製だからこそ見える!皮膚に残る無数の傷が物語る、壮絶な生存競争

壁面には、シマウマやライオンの皮がタペストリーのように飾られていました。こんな展示の仕方見たことない。
その皮をじっくりと凝視すると、かつて彼らが広大な自然の中で生きていた証である、細かな傷跡が無数に見て取れます。
一つ一つが、厳しい自然界における「食うか食われるか」の命懸けの攻防の記録。 野生の厳しさと、その生命の軌跡を肌で感じるような、言葉にできない凄みに満ちていました。

滋賀サファリ博物館は初代館長の近藤幸久が創設した

ここに展示されている動物の剥製は、
初代館長・近藤幸彦氏がガソリンスタンド経営の傍ら、1970年〜90年代にかけて生涯を費やし収集したコレクションです。
全て各国政府の許可を得た正規の猟獲ですが、ワシントン条約がある現在では日本に持ち込めない動物も多く、その希少性は国立科学博物館の研究に活用されるほどだとか。
館内には狩猟の成功を記録した記念写真も展示されており、人によっては「残酷だ」と感じるかもしれません。
しかし、博物館の敷地外に動物たちの霊を慰めるための祠が設けられていることや、一つひとつの剥製が極めて丁寧に保存されている様子からは、奪った命に対して真摯に向き合おうとする姿勢が深く伝わってきます。
実のところ、滋賀サファリ博物館の経営は現在の入館料収入だけでは厳しい状況にあるそう。
それでも、二代目館長である近藤幸久さんは「これらの剥製を多くの人々に見ていただくことこそが、動物たちへの何よりの供養になる」という強い信念のもと、博物館の運営を続けていらっしゃいます。
世界を股にかけて動物100体、滋賀のサファリ博物館 朝日新聞デジタル 2021年8月19日 尾崎希海 https://www.asahi.com/articles/ASP8552NLP7SPTFC00B.html
北極熊やライオンの狩猟権は高額【番外編】
海外で北極熊やライオンなど猛獣の狩猟を行う際、現在の価格でどれだけの金額がかかるのか調べてみました。
アメリカの狩猟家団体「サファリクラブ・インターナショナル」(SCI)が2017年に主催するオークションイベント「アニュアル・ハンターズ・コンベンション」を参照すると
狩猟権の金額は以下のとおり
- 北極熊ー7万2000ドル(約一千万円)
- 南アフリカのワニー1万3500ドル(約180万円)
- アフリカヒョウ8頭ー1万6500ドル(約220万円)〜8万1400ドル(約一千百万円)
ライオンの狩猟権の金額は3万5000ドル(約470万円)。
ライオンの狩猟権に関しては、トロフィーハンティングをする人たちへの警鐘動画である「Lion Takes Revenge On Trophy Hunter!」を投稿したJayden Tannerのコメントから参照しました。
アクセス
住所:滋賀県甲賀市信楽町黄瀬2854-2
詳しい場所をGoogleマップで確認する
営業時間:9:30~16:30 土曜・日曜と祝日のみ開館
料金:大人500円 中・高生300円 小学生200円 乳・幼児無料 団体割引(10人以上)身障者割引有
TEL:0748-83-0121
公式HPhttp://shiga-safari.com(割引クーポンを印刷すれば入館料百円引き)
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まとめ
滋賀に佇む「滋賀サファリ博物館」は一個人の情熱が創り上げた、約100体の動物剥製が息づく圧巻の空間です。
ここにあるのは、単なる剥製コレクションではありません。驚くほど精巧に再現された動物たちの姿は、世界最大の羊「アルガリ」の威容や、世界4大珍獣「ボンゴ」の神秘的な美しさ、「森の魔術師」たる所以を間近に伝え、皮膚に残る傷跡からは野生の厳しい生存競争のリアルな息遣いまでも感じさせます。
狩猟の記録に「残酷さ」を思う瞬間もあるかもしれません。しかし、動物たちを慰霊する祠の存在や、一つ一つの剥製が丁寧に保存されている様は、奪った命へ真摯に向き合う姿勢そのものです。入館料だけでは赤字経営という厳しい現実の中、「剥製を多くの人に見てもらうことが供養になる」という二代目館長の強い信念が、この類稀なる博物館を支えています。
滋賀サファリ博物館は、生命の力強さと儚さ、そして人間と動物の関わりを深く問いかける場所。最後までご覧いただきありがとうございました。


