霊を自分の体に憑依させ、この世の人々と語らうことのできる「イタコ」
中でも恐山のイタコが特に有名で、日本全国各地から沢山の人がイタコと会うために恐山を訪れる
しかし私は正直、うたがっています。イタコの存在を・・・!

「やらせじゃないの?怪しくない?」
「イタコの嘘を見破ってやる」という気持ちで、イタコの口寄せをこの目で確かめてきました
雨の日のイタコの口寄せ
恐山到着!!
恐山大祭にあわせて訪問しました
恐山に行けば必ずイタコに会える訳ではなく
こういった催しのある日にイタコが恐山にやってくるのだ


恐山大祭の日だけでなく、不定期にイタコの口寄せを行っている日もある
以下ブログで確認することができます
最後のイタコ 松田広子のオフィシャルホームページ https://www.itako.net
「青いテントの中でイタコが口寄せをしている」と口コミ情報を見て来たけれど
大雨だからか、恐山入って直ぐの休憩所で行われていた
中の様子は古い公民館の畳スペースといった感じかな
20人程が布団を敷いて寝ることができそうな広いスペースの建物だ
その隅にD IYで組み立てたであろう簡易的な細い木の柱が天井に打ち込まれていて
透明のビニールカーテンで空間が仕切られている



いた!!あの人がイタコか!!
上記ブログのイタコではなさそうだ
イタコを前に、20程のパイプ椅子が横並びしており、沢山の人で溢れている
こりゃめっちゃ待たないといけないぞ
もう少し散策をしてから来ようと
恐山の見どころ
休憩所を抜け、境内を散策
しばらく進むと、かなり硫黄の臭いがキツくなる
めっちゃくさい!!
でも癖になる匂いだなあ
温泉が境内にあり、身体を清めてからお参りすることをオススメします
めちゃくちゃ気持ち良い温泉でした



風呂に入った後、さらに境内を散策
荒涼とした風景が広がる
まさに地獄と呼ぶにふさわしい風景だ
足元が不安定なので底が厚い靴の方が安全だ




さらに進むと「宇曽利山湖」に到着
先ほどの景色とはうってかわり、天国のような風景だ
天国と地獄のコラボである


宇曽利山湖はカルデラ湖だ。アイヌ語で窪んだ土地を意味する「ウシュロ」が転じて、うそり山、さらに転じて恐山と呼ばれるようになったと言う説がある
他にもイタコの語源はアイヌ語の「イタク(語る)」と言う説もある

敷地外ではあるが、恐山駐車場までの道中にある「三途の川」も合わせて訪問したい
車で行くと通り過ぎてしまうような場所にありました



いよいよイタコと対面
散策を終えると時刻は午後4時15分
人の数がかなり減っている
これならもう少し待てば、イタコと対面できそうだ
30分待ちぐらいで自分の番になる
ようやくイタコと対面だ
「よろしくお願いします」と挨拶をして間仕切りされたスペース内に入る
かなり沢山の人が座ったのであろう
イタコの前の畳が目に見えてすり減っている
誰を口寄せしたいのか
命日はいつか
という2つの質問を受ける
祖父にお礼を言いたい旨と日にちを伝えると
「静かになったら話し掛けてください」と返答
いよいよ始まる…
正座した高齢の女性が身体をさらに小さくし、
動物の牙や骨がついた通常の10倍はあろう数珠を手のひらで揉むように鳴らしながら、
身体をユラユラ揺らしている
「極楽の~」「花の月夜の」等の言葉が入った歌念仏?呪文?が始まる
ジャガジャガジャガ
段々とトランス状態に入っていっているようだ
数珠のリズムがさらに高まったと思ったら
スンと歌が終わる
シーン
静寂
口寄せ成功のようだ
果たして注目の第一声は・・・??
「孫や元気にしていたかい??」

ズコー!!孫を孫と呼ぶかね!?
名前で呼ぶやろ
返答せずにいると「良い人を見つけたね。お母さんから聞いているよ」と話が始まる
結婚指輪から、最近結婚したことを推測したのかな
「そうだよ。久しぶり」と返答する
しかし会話は弾まない
なにを話せば良いかわからないからだ
ジャガ
とイタコが数珠を鳴らす
「孫と会えて嬉しい」「身体に気をつけてね」等
と話はしてくれるのだが
「俺も嬉しい」「元気でやってるよ」ぐらいの言葉しか返せない
ジャガジャガ
数珠を鳴らす間隔が徐々に短くなっていく
この時折、鳴らす数珠の音は終わりまでのカウントダウンを示す物なのかな
…
会話が弾まなくなったタイミングで
ジャガジャガジャガ
また歌が始まり終わってしまった
4000円を支払いお辞儀をして終了
4000円が相場の値段らしい
体験としては面白かった
実は並んでいる最中、他の人たちの口寄せも見ていたのだが
何人か断られている人がいた
自分も断られるかと不安だったけど、無事祖父と会えて良かったとは思う
イタコって実は・・・
イタコの口寄せを終えての感想
口寄せを待つ人の列に並んでいる間、
故人に会いに来た何十人の人の会話やその様子を見ていて感じたのは
訪れた人たちにとって
目の前のイタコに
会いたい人が本当に憑依しているかどうかは関係がないということである
「身体に気を付けて」「足下に気を付けるんだよ」等と抽象的なことしか話さないイタコを前にして泣いてすがり付く人々
上手く表現するのが難しいが
イタコが故人を口寄せをしているというよりも
訪れた人たちがイタコに故人を映し出しているといった様子の方が強いように感じた
「自分の息子に最後のお別れを言いたい」「亡くなった妻にまた会いたい」等と話す遺族達
その思いは想像を絶する物があるだろう
そんな願いを解決はできないけど、実際に会うことができるのなら
神秘的な物だとしても、本州最果ての地に行く必要があるにしても、
何かにすがりたいと思う心情には激しく共感ができる
イタコは現代の所で言う
カウンセラー的要素を含んだ存在なのかもしれない
その懐の深さにイタコの口寄せが本当かどうかどうでも良くなった
情報化社会や科学の進歩により私たちの生活様式は激変したが
イタコに代わる、心の空白を埋める何かを我々はまだ見つけられていない
以上です
最後までご覧いただきありがとうございました
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アクセス
住所:青森県むつ市大字田名部字宇曽利山3-2
TEL:0175-22-3825
営業時間:午前6時〜午後6時間で開山
毎年5月1日〜10月31日の間で開山
料金:個人大人500円/人 小学・中学生200円/人
駐車場有(無料)
参考文献
佐藤健寿『奇界遺産3』株式会社エクスナレッジ 2021年
佐藤健寿『世界不思議地図THEWONDER MAPS』朝日新聞出版 2018年
下北半島ナビhttps://simokita.org/sight/osore/
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