米軍基地のすぐそばに位置する沖縄・コザゲート通りは、まるで海外のような雰囲気が漂う場所。行き交う人々や言葉も多国籍で、歩いているだけでワクワクします。そんな中でも、ひときわ強烈なオーラを放つのが「スナック喫茶プリンス」。店内の壁や天井の至る所に1ドル札が貼り付けられており、そこには米兵たちの熱い想いと沖縄の歴史が詰まっていました。この記事では、そんな単なる飲食店という言葉では語り尽くせない深い物語があふれる「スナック喫茶プリンス」の魅力を写真とともに紹介します。

沖縄でディープなアメリカを体感したいならココ!歴史と異文化が交差するコザゲート通りで、沖縄の新たな一面を発見しませんか?米兵たちの想いが詰まった空間で、特別な一杯をどうぞ!
迷い込むなら週末の夜!コザゲート通りが最も熱い時間とは?

「本当にここは日本…?」と混乱してしまうほど、異国情緒あふれるコザゲート通り。すれ違う人々はムキムキの外国人、店から漏れ出す陽気な音楽•••!
米空軍「嘉手納基地」の第2ゲートから胡屋十字路へと続くこの通りは外国人経営の店や外国人向けの店がひしめき、あらゆる場所から外国語が聞こえてくる刺激的な場所です。色鮮やかなネオンや横文字の看板群は圧巻!

コザの魅力を満喫するなら、賑わいが増す金曜・土曜の夜が断然おすすめ。私も土曜の21時頃、その活気あふれる通りを歩いてきました。
ザの夜に妖しく光る!目的地「スナック喫茶プリンス」へ

コザゲート通りの喧騒の中、ひときわ目を引くネオングリーンの看板が今回の目的地「スナック喫茶プリンス」の目印です。夜の闇に浮かび上がるその光は、まるで怪しい世界への入り口のよう。期待と少しの緊張感を胸に、入り口へと続く階段を進んでみましょう。
歴史の証人「Aサイン」が迎える店

入り口の階段を登ると、まず目に飛び込んできたのは一枚の古いポスター、「Aサイン」です。これは、沖縄が本土に復帰する前、米軍によって認められた飲食店や風俗店に与えられた営業許可証のこと。「Approved(許可済)」の頭文字を取ったこのAサインは、1953年に始まり、米軍風紀取締委員会が設けた厳しい衛生基準をクリアした店のみが掲げることができました。スナック喫茶プリンスは1968年創業という長い歴史をもっています。Aサインの制度は1972年の沖縄返還直前に廃止されましたが、今もなお当時の許可証を飾る店が少なくありません。それは沖縄の歩んできた歴史を静かに物語る貴重なシンボルと言えます。
山﨑孝史「USCAR文書からみたAサイン制度と売春・性病規制-1970年前後の米軍風紀取締委員会議事録の検討か 沖縄県公文書館研究紀要第10号、2008年3月、pp40-51 https://www.archives.pref.okinawa.jp/press/kiyou/kiyou10/kiyou10_04.pdf
1968年創業!ドル札に埋め尽くされた圧巻の異空間

入り口を抜けると、そこには壁から天井に至るまで、おびただしい数の1ドル札で埋め尽くされた圧巻の空間。アメリカのダイナーを思わせるレトロな空間はカウンターとテーブル席がゆったりと配置され、大きめのスナックながら秘密の隠れ家のような特別な雰囲気を醸し出しています。レトロアメリカンな内装は、まるで往年の映画のワンシーンに迷い込んだかのよう。カウンター席とテーブル席が並ぶ広めの店内はどこか懐かしい空気に満ちていました。


【何故】1ドル札に託された願い。ベトナム戦争からのメッセージ

店内の壁や天井を埋める無数の1ドル札は単なる装飾ではなく一枚一枚に深い物語が息づいています。
1ドル札が貼り付けられるようになった主な理由は、戦地へ向かう米兵たちが「またここに戻ってくる」という願いや約束を込めて、サインをした1ドル札を店に残していったことが始まりとされています。
1ドル札によく目を凝らすとペンでメッセージが記入されており、なかには力強く「I am ready to go(行く準備はできた)」「We are here!(私たちはここにいる)」と書かれたモノも。これらは戦地へ赴く米兵たちが、再びこの地へ戻ることを願って自らの想いを託してサインしたもの。ベトナム戦争当時のものも見受けられ、その歴史の重みに圧倒されます。
今ではドル札だけじゃない!世界の想いが集う「願いの壁」

壁をさらによく眺めると日本の千円札、ユーロ、ウォン…世界各国の紙幣が貼り付けられています。実は今でも紙幣を壁に貼ることが可能です。もちろん一般客の日本人でもOK。
それぞれの願いや記念のメッセージを込めて、自らの手で新たな紙幣を貼り足していく•••!歴史深い店内に自分自身の「証」を加える体験は忘れられない思い出になりました。
初めてでも大丈夫!温かく迎えてくれるフレンドリー空間

「ディープな雰囲気は気になるけど外国人だらけの店でスナックか・・・入りにくい」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、1人で入店しても全く問題なかったです。
ママやバーテンダー、キャストの皆さんが気さくに話しかけてくださりますし、お客さんも温かい方ばかり。可愛い女性店員が「私も一杯いいですか?」というような接客はなく、ドリンクも通常の居酒屋とあまり変わらない料金でした。1000円あればビールとカラオケが楽しめる。女性だけで入店しているお客さんもいて誰もが安心して楽しめるオープンな雰囲気が魅力でした。
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アクセス
住所:沖縄県沖縄市上地1丁目4−2
詳しい場所をGoogleマップで確認する
TEL:098-932-4806
営業時間:20:00〜3:00
駐車場なし
まとめ
コザゲート通りに佇む「スナック喫茶プリンス」。そこは、一歩足を踏み入れれば壁一面のドル札に圧倒され、米兵たちの熱い想いと沖縄の歴史に触れられる、まさに唯一無二の空間でした。Aサインが示す歴史の深さ、フレンドリーなスタッフと温かいお客さん、そしてリーズナブルな料金。外国人だらけと聞いて最初は少し緊張するかもしれませんが、心配は無用。扉を開ければそこには言葉や文化の壁を越えた、心温まる交流と忘れられない体験が待っています。沖縄を訪れた際には、ぜひこのディープで魅力的な「スナック喫茶プリンス」で、あなた自身の物語を刻んでみませんか?きっと、あなたの沖縄旅行のハイライトになるはずです。


