大阪府交野市にある磐船神社は、古くから人々の信仰を集めてきた聖地です。その象徴ともいえるのが、巨岩の「天の磐船」で、その巨岩に乗って神様が降臨したと伝えられています。また、巨岩の下には神秘的な岩窟が広がっており、古くから修験道の行場として知られています。
この記事では天の磐船の様子とその下に広がる「岩窟めぐり」の様子を写真とともにお伝えします。
近年、磐船神社の天の岩船がジブリ「もののけ姫」に登場するモロ(狼)の寝ぐらと酷似していると話題になっています。その様子もお伝えします。
天の磐船の様子

磐船神社の御神体である「天の磐船」は、その圧倒的な存在感で訪れる人を魅了します。高さ12メートル、幅12メートルにも及ぶこの巨岩は、まるで神々の世界に通じる門のような神秘的な雰囲気を醸し出していました。天の磐船は日本書紀の中で登場しており、この巨岩に乗って神様が降臨したと伝えられています。そのことから磐船神社は古くから「天孫降臨の地」として信仰されてきました。

岩窟めぐりを体験するには受付が必要

先ほどご紹介した、天の磐船の下には巨岩が複雑に入り組んだ迷宮のような空間が広がっており、古来より修験道の行場としてこの「岩窟めぐり」が親しまれてきました。
岩窟めぐりは神聖な場所でありながら一般の参拝者も入場可能です。ここでは、受付の流れや注意事項を説明します。
受付で聞いた注意事項

岩窟めぐりをするには、社務所での受付が必要です。住宅を兼ねた社務所で説明を受けました。岩窟の中は巨岩が積み重なっており、岩の隙間を通ることからカバンがとても邪魔になるとのこと。社務所でカバンを預かってもらいました。
また、膝をつきながら岩と岩のギリギリを進むので、ポケットに物を入れると落とす可能性が高いとも教えてもらいました。チャック付きポケットにスマホを入れ準備万端!・・・と思いきや、説明がかなり入念で、注意事項の説明が続きます。
岩窟巡りは大変危険らしく(死亡事故あり)しばらく帰ってこない場合は、様子を見に行きますとのことでした。一人でのお参りの場合は、他のお客さんが来るまで待ち、一緒にお参りをする必要があるそうです。

岩窟めぐりの様子

岩窟への入り口は、ひっそりと佇んでいます。鉄製の扉を開き階段を下る形で岩窟へと進んでいきます。岩窟の中に一歩足を踏み入れると、そこは外界とは異なる、ひんやりとした静寂の世界が広がっています。

岩窟めぐりは平坦な道を進むと言うより、大きな岩が合わさった場所を足場として進むイメージです。岩と岩の間をすり抜け、時には這いつくばりながら、暗闇の中を進んでいく。一歩でも足を踏み外すと、岩と岩の間に挟まってしまう危険性があるため、足腰や運動に自信のない方は、おすすめできません。

岩の隙間から差し込む光は、まるで希望の光のようでした。その光を追いかけるように、奥へと進んでいきます。

岩がとてつもなく冷たい。岩の下には川が流れているので、少しぬるぬるしている場所もありました。岩に手をついて体を屈めなければ、通れない穴もあるので、氷のように手が冷たくなってきます。
グリップの付いた手袋を持参することをおすすめします。


岩窟めぐり一番の難所「生まれ変わりの穴」

岩窟めぐり一番の難所「生まれ変わりの穴」に到着。岩に「足から」という文字がペンキで記入されていますが、「本当に通れるのか?」というぐらいの小さな穴です。例えるなら、奈良の大仏がある東大寺の柱くぐり程度の穴があって、その先が滑り台状態で先が見えないといった感じ。潜るというより落ちるといった具合か。「行けるのか・・・引き返すのもありかな」と躊躇してしまう。
「うつ伏せになって足から行こう」と決意し突入!するんと潜ることができました。あー怖かったー!!

天の磐船の裏側からの眺望と歴史

岩窟巡りを終えると、天の磐船の裏側を登ることができます。裏側から見る天の磐船は正面からとまた違った、雄大な磐船の姿を目にすることができます。
その壮大さから、かつて加藤清正が大阪城を築城する際、この天の磐船を石垣に使用と試みたが、あまりの大きさに断念したという逸話が残されています。
「もののけ姫」のモデルになった場所!?

近年、磐船神社の天の磐船が「もののけ姫」で登場するシーンのモデルになった場所ではないかと話題になっています。その場面は、岩場からモロ(母狼)アシタカを見下ろし「お前にサンは救えるか」と言い放つシーン。天の磐船の裏側から見た磐座がモデルになったのではと言われています。。
「磐船神社」と「もののけ姫」の関連は公式情報によるものではありませんが、岡田斗司夫氏がYouTubeで詳しく解説しています。キャプチャ「1:08〜モロの秘密」からどうぞ。
岡田斗司夫『もののけ姫』解説総まとめ【ジブリ 宮崎駿 作業用 考察】



アクセス
営業時間と岩窟拝観は要問合せ
住所:〒 576-0033 大阪府交野市私市9丁目19ー1
電話番号:072-891-2125
アクセス:
京阪交野線「私市駅」下車 京阪バス「磐船神社前」バス停下車近鉄「生駒駅」下車 奈良交通バス北田原方面行きに乗換終点「北田原」バス停 徒歩10分
公式HPhttp://www.osk.3web.ne.jp/~iw082125/index-j.html
駐車場の様子と場所
磐船神社を通りすぎ、少し行った先に車が停められるスペースがあります。社務所に尋ねたところ、ここが駐車場です。

まとめ
「磐船神社」は自然の凄さに圧倒される素晴らしい場所で、岩を信仰している文化は世界中にありますよね。こういった情動や信仰心って全人類共通的なものなのでしょうか?確かに天の磐船を目にすると巨大な岩が信仰されるのも納得してしまいます。人間は巨大なものに畏れを抱く生き物なのかも…!!とそんな原始的な人間の価値観に気が付きました。自分の中にある自然への畏れを知覚する、貴重な体験ができました。そして「もののけ姫」の聖地巡礼として訪問してみるのもおすすめです。最後までご覧いただきありがとうございました。