大阪市平野区に、子供が本気で泣き出すほど怖い「地獄」を体験できるお寺があるのをご存知でしょうか? その名も「全興寺」。ここはただ静かにお参りするだけではない、まさに“体験型”のユニークなお寺なのです!中でも名物なのが、リアルな鬼や地獄の裁きが再現されたトラウマ級の迫力を誇る「地獄堂」。しかし、その恐ろしさの裏には「命の尊さを遊びながら学んでほしい」という、住職の深い願いが込められています。そして、恐怖の地獄体験の後には、光に満ちた極楽の世界「ほとけのくに」や、昭和レトロな「駄菓子屋さん博物館」など、心を和ませる見どころも満載!

まるで仏教世界のテーマパークのような怖くて、楽しくて、そしてためになる全興寺。今回はそんな大人も子供も夢中になる、唯一無二の魅力の数々を豊富な写真と共にディープにご紹介します!
- 【全興寺・地獄堂の入り方】QRコードで入場!? 閻魔大王の「極楽度・地獄度チェック」で運試し!
- 自動ドアでで入る地獄堂!リアルすぎる鬼たちに囲まれる恐怖空間で閻魔大王様の裁きを受ける!!
- 「ドラを叩くと地獄が…」恐怖の“さばき”が始まる!子供号泣必至のトラウマ映像
- 奪衣婆の恐怖と「命はひとつきり」のメッセージ – 地獄体験が教えてくれる本当に大切なこと
- 【全興寺・地獄堂の謎】なぜ作られた?“いじめ問題”と“おばあちゃんの一言”がきっかけだった設立秘話
- 【全興寺】地獄の次は極楽へ!地下空間「ほとけのくに」とステンドグラス曼荼羅での瞑想体験
- 全興寺で昭和へタイムスリップ!蔵を改装した「小さな駄菓子屋さん博物館」で懐かしの思い出探し
- アクセス
- まとめ
【全興寺・地獄堂の入り方】QRコードで入場!? 閻魔大王の「極楽度・地獄度チェック」で運試し!

まずご紹介するのは、全興寺が誇るメインアトラクション(?)「地獄堂」。その入場方法は、驚くほど現代的です!まず受付で、QRコードが付いた**「通行手形」を購入。そして、そのQRコードを読み取り機にかざすと、重々しい扉が自動で開くという仕組み。お寺の厳かな雰囲気と、このハイテクなシステムのギャップ**に戸惑いを超えワクワクしてきます。ちなみに、通行手形は現金だけでなく、なんとPayPayでも購入可能。思いがけないところで最先端なのもこのお寺のユニークな魅力の一つです。

地獄の扉を開けるその前に、ぜひ試していただきたいのが、入口にひっそりと設置されたゲーム機。その名も**「あなたはどこに行くか極楽度・地獄度チェック」**!ボタンを押すと、髭と髪が逆立った恐ろしい形相の閻魔大王があなたのこれまでの行いを厳しく(?)ジャッジし、極楽行きか地獄行きか、運命の審判を下してくれます。さあ、あなたはどちらへ向かうべきだと告げられるのでしょうか…?

自動ドアでで入る地獄堂!リアルすぎる鬼たちに囲まれる恐怖空間で閻魔大王様の裁きを受ける!!

QRコードが付いた「通行手形」を入口にかざすと、ウィーン…となめらかな音を立てて「地獄堂」の扉が自動で開きます。中に招き入れられると、そこは4~5人も入ればいっぱいになるほどの、息が詰まるような小さな空間。そして、四方八方から強烈な視線を感じるのです!

正面には、恐ろしい形相でこちらを睨みつける閻魔大王。左手には、一切の感情を排したかのような無表情でこちらの罪状を記録している地獄の裁判官。そして右手には、鋭いペンチを手にした鬼と、歯を剥き出しにしてこちらを試すように睨みつける奪衣婆が!もう、めちゃくちゃ怖いです。

特に鬼の作り込みは尋常ではありません。身長2メートルを超えるであろう巨体は筋肉隆々で、額には全てを見通すかのような第三の目。まるで「お前の考えなどお見通しだ」と、声なき声で語りかけてくるかのようです。
「ドラを叩くと地獄が…」恐怖の“さばき”が始まる!子供号泣必至のトラウマ映像
閻魔大王が鎮座する台座に目をやると、「ドラをたたくと地獄があられます」という、恐ろしくも抗いがたい魅力に満ちた一文が。恐る恐る、チェーンで繋がれたバチでドラを叩くとお化け屋敷で流れるような不気味な音楽と、どこからともなく聞こえる甲高い笑い声がお堂の中に響き渡ります。これが、“さばき”の始まりの合図!
閻魔大王の横にある「浄玻璃の鏡」がモニターとなり、約5分間にわたる地獄の解説映像が流れ始めます。能面のようなお面が語り部となり、釜茹での地獄で泣き叫び、逃げ惑う人々の様子が映し出される様は本当にトラウマ級の怖さ!これは間違いなく、小さなお子さんが見たら大泣き確実のレベルです。
奪衣婆の恐怖と「命はひとつきり」のメッセージ – 地獄体験が教えてくれる本当に大切なこと

数々の恐ろしい演出の中でも、個人的に最もゾッとしたのが、鬼の隣に佇む奪衣婆の、地の底から響くような声でした。三途の川を渡ると待ち受け、亡者の衣服を剥ぎ取ってその罪の重さを測るという老婆のしゃがれた声が響き渡る様は、筆舌に尽くしがたい不気味さ…。「こんな恐ろしい地獄には、何があっても絶対に行きたくない!」と、心から思いました。そして、恐怖の映像体験が終盤に差し掛かると、モニターにはハッとさせられる、たった一つのシンプルな言葉が映し出されます。それは、「命は一つきり」。この言葉にお寺からの温かく、そして力強いメッセージが込められていることを感じました。「命を粗末にする者はこんな恐ろしい地獄に行くことになるんだぞ」「命は一度きりしかないのだから、今を一生懸命に生きなくてはダメだぞ」。これまでの恐ろしいまでの演出や、リアルすぎる鬼や奪衣婆の姿はただ怖がらせるためにあるのではないということに気が付きます。
最初に体験したQRコードでの入場や「極楽度・地獄度チェック」のゲームもきっと仏教の教えや命の尊さを、子供たちにも興味を持って楽しみながら学んでもらうための、住職の素晴らしい工夫だったのでしょう。 (※境内のより詳しい様子は、全興寺の公式ホームページ:https://www.senkouji.net でも確認することができます。)
【全興寺・地獄堂の謎】なぜ作られた?“いじめ問題”と“おばあちゃんの一言”がきっかけだった設立秘話
全興寺の代名詞とも言える「地獄堂」。その設立は1989年(平成元年)、日本社会が大きく揺れ動いていた時代に遡ります。当時、いじめや若者の自殺が深刻な社会問題としてクローズアップされ、学校教育も“ゆとり教育”へと舵を切り始めていた、そんな頃でした。
このユニークな地獄堂が生まれるきっかけとなったのは、当時の住職であった川口良仁師が、地域のある高齢女性から聞いた、何気ない一言だったと伝えられています。「小さい頃、親や祖父母から『悪いことをすると地獄に落ちる』と厳しく教えられたおかげで、大人になっても悪いことをする気になれなかった」と、
この言葉に深く感銘を受けた川口師は恐ろしさの中にこそある真の優しさ、そして子供たちに**「善悪の判断力」を育むことの重要性**を再認識。江戸時代から続く古いお堂を改装し、「命の大切さ」を五感で体感できる学びの場として、「地獄堂」を現在の形に作り上げたのです。
その背景にある深い想いや詳しい経緯については、日本経済新聞の記事(2012年10月24日付朝刊「大阪のおもろい寺」)や、全興寺の公式YouTubeチャンネルなどでも紹介されています。
【全興寺】地獄の次は極楽へ!地下空間「ほとけのくに」とステンドグラス曼荼羅での瞑想体験

恐怖の「地獄堂」で命の尊さを学んだ後は、心安らぐ「ほとけのくに」で極楽浄土の世界を体感しましょう。全興寺には恐ろしい地獄だけでなく、その対極にある極楽をイメージした不思議で美しい地下空間も用意されています。

「ほとけのくに」へと続く階段の手すりには、なんと四国八十八カ所霊場の各寺院から集められた**「お砂」**が収められており、この手すりにそっと触れながら階段を下りることで、四国巡礼と同じご利益が得られるという、ありがたい“お砂踏み”の体験ができます。そして、地下空間の中心で私たちを迎えてくれるのが、床に埋め込まれた、美しいステンドグラスの曼荼羅です。参拝者は、この光り輝く曼荼羅の上に直接座り、目を閉じて静かに瞑想するという、他では決して味わえない、珍しくも神聖な時間を過ごすことができるのです。地獄の恐怖から一転、心洗われるような穏やかなひとときが待っています。

全興寺で昭和へタイムスリップ!蔵を改装した「小さな駄菓子屋さん博物館」で懐かしの思い出探し

地獄と極楽を巡る強烈な体験だけでなく全興寺は地域に根ざした温かい活動にも力を入れているお寺です。境内には、地域の歴史や文化を楽しく学べる様々な施設が設けられており、その象徴とも言えるのが「小さな駄菓子屋さん博物館」。この博物館は、1993年にお寺の古い蔵を改装してオープンした、まさに**“昭和の宝箱”のような空間**。中には、なんと住職が子供の頃から大切に集めてきたという、数百点にも及ぶ懐かしい駄菓子やおもちゃが所狭しと展示されています!色褪せたお菓子のパッケージ、今ではもう見かけない珍しいジュースの瓶、そして子供時代に夢中になった素朴なおもちゃの数々…。一歩足を踏み入れれば、誰もが自身の子供時代にタイムスリップしたかのような、甘酸っぱくて、どこか切ない、懐かしい気持ちに包まれることでしょう。地獄を見た後だからこそ、この温かさが一層心に沁みるのかも。
アクセス
住所:〒 547-0044 大阪市平野区平野本町4-12-21 詳しい場所をGoogleマップで確認する
営業時間:8時30分〜17時
拝観料:無料
電話番号:06-6791-2680
アクセス:駐車場有 JR大和路線「平野駅」南口 Osaka Metro谷町線「平野駅」4号出口 徒歩12分

まとめ
大阪・平野区に佇む「全興寺」。今回は、その常識破りでエンターテイメント精神にあふれる境内を巡る、ディープな体験の数々をご紹介しました。子供が本気で泣き出すほどリアルな「地獄堂」で恐怖に震え、地下に広がる「ほとけのくに」の幻想的なステンドグラス曼荼羅に心を洗われ、そして「小さな駄菓子屋さん博物館」で懐かしい昭和の記憶に浸る…。一つの境内でこれほどまでに感情がジェットコースターのように揺さぶられるとは、訪れる前は想像もしていませんでした。しかし、これら全てのユニークで刺激的な仕掛けの根底には、「命は一つきり」というシンプルで力強いメッセージと、1989年当時の社会を憂い、子供たちの未来を思った住職の深い愛情が流れています。ただ面白い、ただ変わっているだけでなく、そこには**確かな“教え”と“祈り”**が存在しているのです。全興寺は、大人にとっては自分自身の生き方をふと見つめ直すきっかけとなり、子供にとっては遊びながら大切なことを学べる、世代を超えて心に何かを残してくれる場所です。大阪観光の際には、ぜひこの**「怖くて、楽しくて、そしてとてもためになる」**、他に類を見ない唯一無二のお寺に立ち寄り、あなた自身の心でその温かいメッセージを受け取ってみてください。最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。