大阪市平野区にある全興寺に、地獄を再現した地獄堂と呼ばれるお堂がある。地獄堂ではリアルな鬼の人形や恐ろしい地獄の風景が再現されており、訪れた子どもたちが大泣きすることもしばしばです
しかし、その恐ろしさの裏には「命を大切に」という大切な願いが込められていました
境内には他にも仏の世界を表現した「ほとけのくに」や「小さな駄菓子屋さんの博物館」などがあり、見どころが多いお寺です。例えるなら、全興寺はお寺界のディズニーランドや
どのような場所だったのか詳しくお伝えします
QRコードが必要な地獄堂の様子
地獄堂に入るには、受付で購入できるQRコード付きの通行手形が必要です。これまで何百以上の寺を訪れてきましたが、QRコード付きの券をもらったのは初めてだ。PayPayでも支払えるというから二重の驚きです
地獄堂の扉は固く閉まっています。QRコードを機械にかざさなければ開きません
地獄堂に入る前に自分が入り口そばにある「あなたはどこに行くか極楽度・地獄度チェック」と書かれたスイッチボタンを押しましょう。閻魔大王様による「おさばき」が下されます
地獄堂の閻魔大王様に裁かれる!!
地獄堂の中は4〜5人程が入れる小さな空間です。ドラを叩くと「さばき」がスタートします
正面には閻魔大王様が恐ろしい顔で睨みを効かせ、左手には地獄の裁判官の十王が鎮座。無表情で記録を取られているぞ
そして右手には、ペンチを持った鬼や奪衣婆がいる。怖いぞ〜
鬼がかなりリアル。2m以上の体格で腹が出ているけど、筋肉もりもりで硬そう。一番強いやつの体である。そして、額には第3の目があり「抵抗しても無駄だぞ、お前の考えはお見通し」といった様子です
地獄でこんな恐ろしい鬼と対決することになっても勝てっこない
大王の横にある「浄玻璃の鏡」がモニターになっており、5分程度の地獄の映像や解説が流れます
おどろおどろしい音楽と映像がめっちゃ怖い。子ども大泣きだろう
特に怖いのが、鬼の隣にいる奪衣婆の声だ。三途の河を渡ると、待ち受けており、衣服を剥がして罪の重さを測るという。こんな恐ろしい地獄には絶対に行きたくないです
モニターに最後に映った「命は一つきり」
「命を粗末にする者はこんな恐ろしい地獄に行くんだぞ」「命はひとつきりしかないんだから一生懸命生きなくちゃダメだぞ」ということが理解できました
境内の詳しい様子は公式HPでも確認することができます
地獄から極楽への体験ができる寺 全興寺の公式HPhttps://www.senkouji.net
地獄堂の設立背景はいじめや自殺
地獄堂の設立は1989年。この頃はいじめや自殺が社会問題になり、学校がゆとり教育へと移行した時代です。
住職の川口良仁は近所の高齢の女性から「悪い事をしたら地獄へ落ちると怖い顔で何度も言われ、そのせいで年を取っても悪い事をする気になれなくなった」という話を聞き、それをヒントに江戸時代からあった古い堂を改装し、名前を「地獄堂」と改め、現在の形となった
大阪のおもろい寺――全興寺住職川口良仁氏.『日本経済新聞』.2012年10月24日付朝刊、40面
以下は全興寺の公式YouTubeチャンネルが紹介している境内の様子です。実際に訪れた気持ちになる動画になっており、見応えがあるのでぜひチェックしてください
ほとけのくにの見どころ
次にオススメなのが「ほとけのくに」です。地下空間でステンドグラス曼荼羅に乗って瞑想という珍体験ができる
地下に降りる階段の手すりには四国八十八カ所霊場各寺院の「お砂」が収めてあります
地下空間の中央のステンドグラスが密教の曼陀羅(まんだら)。公式HPでは住職がこの上に乗って瞑想をしている写真が掲載されています
小さな駄菓子屋さんの博物館
全興寺には平野の町づくりを考える会の事務局があります。「平野町づくり博物館」や「平野郷HOPEゾーン計画」事業など様々な町おこし活動を行なっています
「小さな駄菓子屋さんの博物館」は平野町ぐるみ博物館の常設館の一つ。1993年に寺の蔵を改修してオープンした。住職が小さい頃駄菓子屋で集めた数百点のコレクションを展示している
アクセス
住所:〒 547-0044 大阪市平野区平野本町4-12-21 詳しい場所をGoogleマップで確認する
営業時間:8時30分〜17時
拝観料:無料
電話番号:06-6791-2680
アクセス:駐車場有 JR大和路線「平野駅」南口 Osaka Metro谷町線「平野駅」4号出口 徒歩12分
まとめ
全興寺は仏教的世界観を楽しみながら体験できる場所でした。中でも地獄堂は生きることの大切さや自分自身の行いについて考えるきっかけを得ることができます。
珍スポットとして有名な場所ではありますが、地獄堂の設立背景を知るとまた違った風景が広がります
以上です。最後までご覧いただき、ありがとうございました