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高野山麓の珍スポット「鎌八幡宮」探訪!“丑の刻参り”を思わす鎌の木の正体は縁起の良い願掛けだった

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鎌が刺さった様子 和歌山県
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高野山の麓に位置する鎌八幡宮におびただしい数の鎌が突き刺さっている大樹があります。
一体誰が、何のために?

今回は、そんな恐怖と神聖さが同居する、不思議な「鎌八幡宮」の見どころを、豊富な写真と共に詳しくご紹介します。

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物見遊山

家族旅行の合間に隙を見つけてはディープで不思議なスポットを巡っています。
旅行記を読むのが好きで、ライターに憧れてブログを始めました。面白いスポットがあればぜひ、教えてください!!

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【和歌山・鎌八幡宮】世界遺産「丹生酒殿神社」に佇む樹齢300年の黄金イチョウが圧巻!

丹生酒殿神社の様子

鎌八幡宮は、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部に登録されている丹生酒殿神社の境内にひっそりと佇む境内社です。

丹生酒殿神社は樹齢300年、高さ25メートルもあるイチョウの木が目印。
一見、無数の鎌が突き刺さるという大樹があるとは思えない美しい場所のように思いますが、境内の奥まった場所に確かに存在します。

丹生酒殿神社の奥へ…ついに現れる「鎌八幡宮」とラスボス級の雰囲気を放つ御神木

イチイガシに突き刺さるカマ

丹生酒殿神社の社殿を正面に見て、右手の脇道へと進むと、小さな公園とその奥に「鎌八幡宮」と刻まれた石碑が見えてきます。

整備された小道の先には鬱蒼とした林が続き、その木々の間、ちょうど丹生酒殿神社の社殿の真裏にあたる場所に異様なオーラを放つ一本の巨木が顔をのぞかせていました。

「これが…鎌八幡宮か!」その姿は、まるで強力なラスボスが封印されているかのような神聖さと禍々しさが同居した雰囲気。

巨木の幹という幹、そして地面を這う根に至るまで無数の鎌が深く突き刺さっておりただならぬ空気を醸し出しています。

新旧入り乱れる無数の鎌!刃に刻まれた長年にわたる信仰の歴史と時の流れ

無数の鎌が打ち込まれた大木

恐る恐るその御神木に近づき、無数の鎌をよく観察してみると
まだラベルがくっきりと残り鈍い輝きを放つ鎌があるかと思えば、長い年月を経て柄の部分が朽ち果て幹と一体化しかけているような古い鎌もあり様々な種類のものが打ち付けてあることがわかります。

その突き刺さり具合も様々で、鎌の先端だけがチョコンと刺さったものから、刃全体が樹木に完全にめり込み強い意志を感じさせるものまで多様。

鎌が突き刺さっている様子

「丑の刻参り」とは違う!看板が諭す、鎌八幡宮の“正しい祈りの心構え”

社の様子

木に鎌を打ち込むという行為から、どうしても藁人形を釘で打ち付ける呪いの儀式「丑の刻参り」を連想してしまいがちですが、
道中に掲げられた看板が、そんな考えをはっきりと否定しています。

看板にはこう記されていました。「神社での正しい祈り方は私慾の都合で祈る文語ではないことをご理解下さい」。少し難しい言葉ですが、これはつまり、「自分の個人的な欲望や、誰かを貶めるような恨みを願う場所ではありませんよ」ということ。

ただ、凶器にもなり得る鎌が無数に突き刺さっている姿はどうしても恐ろしいイメージを抱いてしまいます。

なぜ鎌を樹に突き刺しているのでしょうか?

なぜ神木に鎌を刺す?江戸時代の古文書『紀伊続風土記』が明かす驚きの願掛け

イメージ図

鎌がびっしりと突き刺さる御神木は、「イチイガシ」という、古くから神霊が宿るとされる神聖な樹木です。
江戸時代後期の1839年(天保10年)に紀州藩によって編纂された地誌『紀伊続風土記』に由来が記されています。

「祈願の者鎌を櫟樹に打入れ是を神に献すといふ 祈願成就すへきは其鎌樹に入ること次第に深く叶はさる者は落つといふ 」 (訳:祈願する者は鎌をイチイガシの木に打ち入れてこれを神に献上するという。祈願が成就するならばその鎌は木に次第に深く入り込み、叶わない者の鎌は落ちてしまうという。)

つまり、鎌を突き刺す行為は一種の“願掛け占い”であるということ

無病息災、子宝、受験合格など、様々な祈願成就を願いながら鎌を打ち入れ、その鎌が幹に深く食い込んでいけば願いは叶い、逆にうまく刺さらずに落ちてしまえば願いは叶わないと信じられていたのです。

最盛期には鎌屋も出店!? 一度に千本の鎌を打ち込んだという熱狂的な信仰の歴史

江戸時代の鎌八幡宮の様子イメージ図。鎌を販売しているところ
イメージ図

この鎌を突き刺す信仰がいつ頃から始まったのか、正確な記録は残っていません。
しかし信仰が非常に盛んだった時期もあり、かつては神社の前に鎌を専門に売る店まで出店し、参拝者はそこで鎌を求めて祈りを捧げたといいます。

さらに、驚くべきことに一度に千丁もの鎌を打ち込む熱心な信者もいたとか。当時の人々の信仰の熱量と、この場所が持つ力の大きさが伝わってくるような圧倒的なエピソードですね。(参照:日野西眞定(2008年)『霊宝館だより』

【重要】現在は“鎌打ち禁止”!御神木保護と、もう一つの聖地「元宮」の存在

「鎌を打ち込んでみたい」という方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら2017年(平成29年)より、新たに鎌を打ち込む行為は固く禁止されています。

実は、ここから1kmほど離れた場所には、「鎌八幡の元宮」がひっそりと存在します。この元宮にも、同じく鎌がびっしりと刺さった御神木が残されており、さらにディープな信仰の世界に触れたい方は、そちらにも足を運んでみると良いかもしれません。

アクセス

地図アプリで鎌八幡宮を検索する際は「丹生酒殿神社」と調べた方が良いです。「鎌八幡宮」で検索すると、似た信仰のある大阪の円珠庵(鎌八幡)がヒットすることがあるのでお間違いないように

住所:和歌山県伊都郡かつらぎ町三谷631

詳しい場所をGoogleマップで確認する
時間:常時
料金:無料
駐車場有

まとめ

高野山の麓、世界遺産・丹生酒殿神社の境内にひっそりと佇む「鎌八幡宮」。今回は、そのあまりにも強烈な見た目と、その裏に隠された意外な真実、そして人々の祈りが刻まれた深い歴史の物語をご紹介しました。幹に無数の鎌が突き刺さった御神木の姿は、一見すると呪いの儀式を思わせるほど禍々しく、不気味に映るかもしれません。しかし、その一つ一つは、恨みや呪詛ではなく、無病息災や五穀豊穣といった人々の切実な“祈り”の証でした。そして、鎌の刺さり具合で願いの成就を占うという、江戸時代から続くユニークな「願掛け占い」の風習があったことには、誰もが驚かされるのではないでしょうか。現在は御神木保護のため、新たに鎌を打つことは固く禁じられていますが、新旧入り乱れる無数の鎌は、この地で重ねられてきた信仰の歴史の厚みを静かに物語っています。決して「丑の刻参り」のような私怨を晴らす場所ではなく、公で純粋な願いを捧げるべき神聖な場所であるということを、私たちは忘れてはなりません。鎌八幡宮は、見た目のインパクトで私たちの先入観を揺さぶり、その上で日本の信仰の多様性と奥深さを教えてくれる、非常に興味深いパワースポットです。高野山を訪れた際には、ぜひ丹生酒殿神社まで足を延ばし、このミステリアスで神聖な“祈りの木”と対面してみてください。きっと、あなたの心に強く残る、特別な体験となるはずです。最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。