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米軍の爆撃機残骸を展示した池とハノイのディープなローカル住宅街【B52池】

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B52が沈んだ様子 ハノイ
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ベトナムハノイに戦争時に撃墜された米軍の爆撃機「B52」の残骸をそのまま展示した珍しい池があります。通称「B52池」。一見すると池の中央に横たわるその姿は無骨な鉄塊のようにも見えるかもしれません。しかし、そばに立つ記念碑や穏やかに水を噴き上げる噴水はここが単なる残骸の展示場所ではなく、ベトナム戦争の爪痕を未来へと語り継ぐためのかけがえのない場所であることを静かに物語っています。
そして合わせて見て回りたいのが、池周辺の住宅街。ハノイ市民の日常が息づく活気に満ちたエリアとなっており、迷路のように入り組んだ路地を巡れば軒を連ねる露店や、家々の隙間から聞こえてくる生活の音が聞こえ、ベトナムの日常に迷い込んだかのような雰囲気を味わえます。

不屈のブルースチェン(ライター)
不屈のブルースチェン(ライター)

戦争の記憶と、そこに暮らす人々の今の営みが交差するこの場所でハノイの奥深い魅力を感じることができる「B52池」。その魅力を写真と共に詳しくお伝えします。

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ハノイに眠る歴史の証人「フュティエップ池」~ホーチミン廟近くのB52残骸~

B52池の景色

ベトナムの首都ハノイ、多くの観光客が訪れるホーチミン廟からほど近い場所に戦争の記憶を静かに物語るように位置するのが「フュティエップ池(Hồ Hữu Tiệp)」、通称「B52池」です。
この池にはベトナム戦争の激戦の最中、ベトナム軍によって撃墜されたアメリカ空軍の戦略爆撃機「B52」の残骸が、今もなお沈んだ状態で展示されています。

「B52」。かなり大きな爆撃機だ

B52は1955年に運用が開始されて以来、改良を重ねながら現在もアメリカの空を支える主要爆撃機。その巨大な機体の一部が、生々しい姿で水面に横たわっているのです。

生々しい戦争の記憶とローカルな日常が交差する場所~噴水と「B52cafe」が見守る残骸~

B52池と記念碑
B52が沈んだ様子

「残骸がそのまま」と言うのが、なんともベトナムらしく面白いスポット。一応、池周辺は観光地として整備はされており、B52の周りに噴水や照明、黄金に輝く解説板が展示されていました。かなりドラマチックな展示でありながら私以外の観光客はゼロ。残骸の裏手には「B52cafe」なるカフェも存在し、歴史的遺物と現代の日常がユニークに共存しています。

B52カフェ
B52cafe

「死の鳥」を撃ち落とした誇り~1972年の記録とベトナム統一の象徴~

解説版の様子

豪華な解説板には、「1972年12月27日23時05分に第285ミサイル連隊が撃墜したB-52G型」という具体的な記録が刻まれていました。ベトナム戦争当時、その圧倒的な破壊力から「死の鳥」と恐れられたB52。それを撃墜したという事実はベトナムの人々にとって大きな誇りであり、この場所はベトナム統一の象徴として今も大切に語り継がれている場所なのでしょう。

不屈のブルースチェン(ライター)
不屈のブルースチェン(ライター)

綺麗に整備された池の姿から想像するとB52池は単なる戦争遺物ではなく、困難を乗り越えた国民の誇りを象徴する場所と言えるのかもしれません。

フュティエップ池のB52、その片割れ?~近くの「B52戦勝博物館」が語る撃墜の真実~

実は池のほど近くに「B52戦勝博物館」という軍営の施設が存在します。この博物館の屋外にもB52の残骸が展示されているのですが、興味深いことにその機体は下部が大きく欠損しています。一方、B52池に目を向けると水面から覗くタイヤなどから、池の残骸が機体の下部であることが推測できます。もしかすると、この二つのB52の残骸は、元々一つの機体だったのではないでしょうか。

のざらしでB52が展示
B52戦勝博物館に展示されている機体。上部のみの展示で下部が欠損している
タイヤ部分
池のB52。タイヤが少し見えることから、機体の下部であることがわかります。

ふたつの残骸が示す同一の記憶~解説板が繋ぐ1972年12月の迎撃~

B52の残骸

「B52戦勝博物館」の解説板には「1972年12月にベトナムのミサイルで迎撃した」との記述が見られます。これは、フュティエップ池のほとりに立つ黄金の解説板に記された「1972年12月27日23時05分に第285ミサイル連隊が撃墜したB-52G型」という内容と見事に一致します。これらの情報から、博物館に展示されている機体と、池に静かに沈む機体が、かつて空を舞った同一のB52のものであることはほぼ間違いないでしょう。二つの場所に分かれて展示された残骸は、それぞれがベトナム軍による撃墜という歴史的瞬間を物語っています。

B52池のすぐそばに広がる、ありのままのハノイ ~地元民エリアの素顔~

B52池周辺の景色

実はB52が沈んでいる池の周辺は観光客があまり訪れない、ごく一般的な市民が暮らすエリア。池に訪れた際は周囲を散策することもおすすめします。
そこには人々の活気とどこか懐かしい空気が混じり合う、これぞ「素顔のハノイ」と呼ぶにふさわしい日常風景が目の前に現れます。歴史の記憶を刻む静かな池と、日々の営みが織りなす賑やかな喧騒。過去と現在が、まるで自然なグラデーションのように隣り合う姿に不思議な魅力を感じます。

池周辺の朝市

早朝の熱気とノスタルジー!池畔で開かれる活気あふれる路上市

路上で販売されている肉

このエリアの魅力を最も色濃く感じられるのが、毎朝7時ごろになると池の周辺で自然と始まる路上市です。どこからともなく人々が集まり、新鮮な野菜や果物などが所狭しと並べられます。特に目を引くのは、その場で売られるプリプリとした見るからに鮮度の良い生肉や鮮魚など、地元ならではの食材たち。売り手と買い手のやり取り、バイクの音、そしてどこか懐かしい匂いが混じり合い、エネルギッシュでありながらもノスタルジックな雰囲気に包まれます。

ハノイの迷路「ンゴー」探訪 ~地元民の笑顔と生活の香りに包まれる路地裏散歩~

ンゴーの様子

さらに周囲を散策すると、まるで都市の毛細血管のように高い建物の間に複雑かつ緻密に入り組んだ細い路地を何本も目にします。ハノイではこうした小さな路地を「ンゴー(Ngo)」と呼びます。

軒先では井戸端会議に花が咲き、路地を駆け回る子供たちの元気な声が響き渡り、そして家々からは食欲をそそるベトナム料理の香りがふわりと漂ってきました。このエリアでは外国人観光客の姿が珍しいためか、ふと目が合えば「どこから来たの?」と陽気なベトナム語で話しかけられることが何度かありました。

路地の様子
狭い道も多い

ンゴーをあてもなく歩いていると、まるでハノイの素顔をすぐそばで覗き見ているような、そんなワクワクする楽しさがあります。

近くのおすすめスポット
ハノイ旧市街にある墓石問屋通り【ハンマム通り】
壁一面に貼り付けられた付箋が珍しいハノイ随一のSNS映えカフェ【ザ・ノート・コーヒー】

アクセス

池の隣には小学校があります。小学校にマップを設定すると、たどり着きやすいと思います。
小学校の住所:35 Ng. 55 Đ. Hoàng Hoa Thám, Ngọc Hồ, Ba Đình, Hà Nội, ベトナム
詳しい場所をGoogleマップで確認する

訪問は朝市が楽しめる朝の7時ごろがおすすめです。

まとめ

ハノイの中心部に静かに横たわる、戦争の生々しい記憶を今に伝えるフュティエップ池(B52池)。撃墜された米軍爆撃機B52の残骸は訪れる者に強烈な印象を与えます。そして、その歴史的背景は、近隣の「B52戦勝博物館」に展示された機体の一部である可能性や、詳細な撃墜記録によって、より深く、多角的に私たちの胸に迫ってきます。
しかし、この場所の魅力は、過去の記憶だけにとどまりません。一歩足を踏み出せば、そこには驚くほど活気に満ちた、ハノイ市民のありのままの日常が広がっています。早朝の池畔で開かれる路上市の熱気とノスタルジックな喧騒、そして「ンゴー」と呼ばれる迷路のような路地裏で出会う、地元の人々の屈託のない笑顔や生活の香り。これら全てが、歴史の舞台のすぐ隣で、力強く息づいているのです。

戦争の爪痕という静寂と、日々の暮らしが織りなす賑わい。過去と現在が鮮やかなコントラストを描きながらも、ごく自然に共存するこのエリアは、まさに「素顔のハノイ」そのものと言えるでしょう。フュティエップ池とその周辺を巡る旅は、単なる観光では味わえない、ハノイの奥深い歴史と、そこに暮らす人々の温かな息吹を同時に感じることができる、貴重な体験となるはずです。最後までご覧いただきありがとうございました。