名古屋市の住宅街に位置する、久国寺にはトゲトゲが生えた梵鐘がある。岡本太郎作の「歓喜の鐘」だ。独創的な形をした梵鐘はマンダラをイメージしており、側面には瞑想する仏、動物、魚、妖怪など森羅万象のレリーフが刻まれている。
境内には愛知県珍スポットの覇者である「五色園」のコンクリート像を建造した浅野祥雲の護国観音像もある。
詳しい様子を写真とともにお伝えします
歓喜の鐘に刻まれるTAROの文字
久国寺は1675年(延宝3年)開山の曹洞宗のお寺です。そんな由緒正しいお寺に悪の組織の新兵器のようなイカついデザインの鐘が存在する
「芸術は爆発だ!」の名言や「太陽の塔」の作者として知られる岡本太郎が製作した「歓喜の鐘」です
「寺にある物は慎ましく厳かではならない」という固定概念を打ち砕くエネルギーみなぎる作品である
この鐘の特徴はなんと言っても上部に付いたトゲトゲだろう。「作者のことば」で岡本は「鐘の音は、宇宙に向かってひろがって行く。ならば形もそうであってよい」とその不思議なディティールについて語る
また「一個の鐘に万物を濃縮するのである。それは仏教の広大な宇宙観である『マンダラ』の思想に通じる」と語っています。確かに側面をよく観察してみると、マンダラのように瞑想する仏、動物、魚、妖怪など森羅万象のレリーフが刻まれています
さらに、上部のトゲに見える部分は人間の腕であり、人間たちは宙に舞い、身を躍らせているという。なんてメッセージ性の高い梵鐘なんだ。さすが岡本太郎
最後に鐘の音色についても記述があるのでお伝したい
「打ち鳴らすと宇宙全体が叫ぶ。よろこび、悲しみ、苦痛、うめき声、それらが言いようのない振幅で響きわたる」
デザインに特化した鐘に見えるが岡本は音楽家の意見を取り入れ、トゲに見える人間の腕が共鳴し合うように設計した。また通常よりも低い位置に設置されていることや角の向きも計算されているというから驚きだ
通常、歓喜の鐘を打つことはできないが、「除夜の鐘」に合わせて訪問すると打つことができる。先着108名です。以下の動画は歓喜の鐘の音色です。グワーンと通常の鐘よりも低い音が響いている様子を確認することができます
なぜ、岡本太郎作の梵鐘があるのか
「太陽の塔」が作られたのは1970年。それに対してこの「歓喜の鐘」は1965年に製作された。太陽の塔の5年前である。なぜ岡本太郎の作品が久国寺にあるのかというと、当時の住職が知り合いをとおして岡本太郎に依頼して製作したから
試作品である小型の鐘が五体あり、うち一体が東京都にある岡本太郎記念館に、もう一体が親交のあった石原慎太郎の元にあるそうです
護国観音像も見所です
護国観音像は太平洋戦争の戦没者の慰霊のためにこの地区の遺族会の方々が建てたものです。台座の裏に、80名の英霊と世話人・幹事20名の名前が彫られています。製作者は桃太郎神社や五色園のコンクリート像を建造した、浅野祥雲
見所は岡本太郎製作の鐘だけではない。表情がなんか面白い護国観音像もしっかりチェックしよう
アクセス
住所:名古屋市北区大杉3-2-27
詳しい場所をGoogleマップで確認する
時間:境内自由
電話:052-981-1252
料金:無料
アクセス:名鉄瀬戸線「清水駅」より徒歩6分
駐車場:有(無料)
まとめ
岡本太郎製作の梵鐘が名古屋にある。実は地元の人にもあまり知られていませんが、大変貴重なモノです
常識を打ち破るそんなエネルギッシュなパワーをいただけるスポットでした
近くには、名古屋城や栄など有名観光地があるので、名古屋を訪れた際は立ち寄りたいスポットです
最後までご覧いただき、ありがとうございました