軍艦島(端島)は炭鉱によって栄えた島。石炭出炭量の増加に比例するように島は急成長を遂げ、当時の人口密度はなんと世界一。島内には、病院や学校、映画館、高層アパートなどが立ち並び、島の施設だけで豊かな暮らしが成立していました。しかし、主要エネルギーが石炭から石油へと移行したことにより炭鉱が閉鎖され軍艦島は廃墟となってしまいました。
軍艦島の一番の魅力は「島全体が当時のまま残っている」こと。年を重ねるごとに廃墟化しボロボロになった建物は遺跡のようで、神聖とも言える独特の雰囲気があります。
近年、日本の近代化を支えた産業遺産として注目を集め、2015年には世界文化遺産の一つに登録されました。注意点は軍艦島へは個人で上陸することはできず、ツアー会社を利用する必要があること
軍艦島への行き方をツアー比較しながら上陸した際の詳しい様子をお伝えします
2024年版軍艦島への行き方各社料金比較
軍艦島は個人で上陸することができません。以下4社のクルージング会社の中からツアーサービスを利用する必要があります。
おすすめの会社は「軍艦コンシェルジュ」。理由は他会社よりも高い上陸率とスタイリッシュに軍艦島の魅力を伝えている点。
以下ツアー会社4社を比較しています。
会社 | 料金 | 魅力 |
軍艦島コンシェルジュ | 大 人:5,310円〜 中高生:4,310円〜 子 供:2,650円〜 | 船の構造の違いで上陸率94%と他社よりも高い。手作りのスライドを用い、船内で歴史を解説。 |
軍艦島クルーズ株式会社 | 大 人:3,910円 子 供:1,950円 | 料金最安。軍艦島の隣の島に上陸し、石炭についての歴史も解説。 |
やまさ海運株式会社 | 大 人:4,510円 子 供:2,250円 | 上陸証明書が貰える。船が一番大きく、船酔いが心配な方も安心。 |
シーマン商会 | 大 人:3,910円 中高生:3,120円 子 供:1,900円 | 上陸証明書と石炭が貰える。元島民の「 軍艦島を世界遺産にする会 」 の理事長がガイド。 |
※料金は入島料を含めました。物価高の影響で、料金や内容が変更になっている場合があります。詳しくはHPをご確認ください
軍艦島コンシェルジュのレビュー
軍艦島コンシェルジュを利用して軍艦島に上陸した様子をお伝えします。
グラバー園に近い常盤港で専用線に乗船し軍艦島を目指します。
船内では、ただ待つだけでなく、ガイドによる解説を楽しむことができるのですが、この解説が本当に面白い。手作りのスライドとともに日本の産業発展の入り口だった長崎の歴史や、その分岐点で活躍した人々の生き様が熱く語られます
軍艦島が見えてきたぞ!!早速上陸だ! とはいかず、島をぐるっと周遊してくれます。
途中で船を停め撮影タイム
軍艦島コンシェルジュにはスタンダード、プレミアム、スーパープレミアムと3つのチケットがあり、スーパープレミアムのチケットを購入した人が優先的に写真撮影に適したデッキに案内されます。
私が購入したのはスタンダードチケット。「なんだよ、良い場所を陣取られてしまうやん」と思いましたが、結果スタンダードチケットで全く問題ありませんでした。
ぶっちゃけ飽きるぐらい、軍艦島の周りをゆっくりと周遊するので、後半には船内に戻る人もいました。
スタンダードチケットでも十分見応えがあったし、上陸後も「スーパープレミアムの人だけ見れます」といったサービスの違いはありませんでした。
島内から見ることのできない姿を船上から見学できました。最高!!
軍艦島デジタルミュージアムも見応えがある
軍艦島コンシェルジュを利用すると旧グラバー住宅近くにある「軍艦島デジタルミュージアム」を無料で楽しむことができます。VRを使って、軍艦島立ち入り禁止区域の最新映像を体感できたり、全長約30m のスクリーンに映し出される軍艦島のデジタル映像など満足度の高い施設。
お土産コーナーも充実。私は軍艦島のゆるキャラ「ガンショーくん」グッズを購入しました。うんちみたいではある
軍艦島デジタルミュージアム公式HP
https://www.gunkanjima-museum.jp
軍艦島の様子
いよいよあこがれの軍艦島に上陸。
廃墟の王様と呼ばれる軍艦島。風化しながらも堂々とたたずむ高層アパートの迫力はまさに王様。今も世界中の人々を魅力し続けている
軍艦島は炭鉱によって栄えた島で1960年(昭和35年)には5,267人が住んでいました。当時の人口密度は世界一。島内には、病院や学校、映画館などが立ち並び、島の施設だけで何不自由のない完全な都市が形成されていました。また、命懸けの仕事である炭鉱マンたちの給料は凄まじく、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の全国普及率が20%程度の頃に、島の普及率はほぼ100%だったと言われています
戦後、石炭から石油へと需要が移り、1974年に炭鉱は閉山。軍艦島は無人島となり時代を閉じ込めたかのように、沢山の人々の生活の痕跡を残し、廃墟化しました
軍艦島の炭鉱で採炭される石炭がなければ日本の発展はなかった。そんな貴重な場所に足を踏み入れ、当時の雰囲気を感じられるのは大変貴重な経験です
第一見学広場で小中学校を眺める
見学できるエリアは3つ。上の写真は第一見学広場からの風景です
奥の白っぽい建物が「端島小中学校」。左上の高台にあるのが三菱の幹部が住む社宅「3号棟」。
台風が来ても一番安全な場所で、一般の住宅にはない風呂場も完備。軍艦島では水が大変貴重だった。岩礁を埋め立てて拡張した島内では水の確保が難しいからだ
第二見学広場。交わされる言葉は「ご安全に」
次は第二見学広場。
レンガ造りの建物が残る「総合事務所」を見学できる。中には仕事終わりの労働者のための海水共同浴場があった。そして右側の階段になっている場所が、地下600m以上の作業場に続く「第二竪坑坑口桟橋跡」
地下へは階段ではなく、秒速8メートルの速度で落ちるフリフォールのようなエレベータで移動しました。
作業場は、真っ暗な海底炭鉱で気温30度・湿度95%という厳しい環境下。常にガス爆発の危険と隣り合わせの中で作業をしていました。仕事が終わり地上に戻ってきた鉱員たちは、みんな真っ黒になったという
鉱内で交わされる挨拶は「お疲れ様」ではなく「ご安全に」だったそうだ。すごい話ですね
第三見学広場で日本最古の7階建て鉄筋コンクリート高層アパートを見る
最後の見学エリアでは1916年に建築された日本最古の7階建て鉄筋コンクリートの高層アパート「30号棟アパート」を見ることができます
築100年以上経つ建物ですが内部はロの字型に吹き抜けの空間があり、その周りに沿って階段が設置され地下には売店があった。開放的で現代でも通じる、機能的なデザインだ
軍艦島を守り続けた岸壁に注目すべし
軍艦島は世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産の中のひとつです。構成資産としての名称は「端島炭坑」。地下に広がる「坑道」と台風から軍艦島を守るために築かれた「岸壁」の2か所が構成資産です
朽ちていく、高層アパートもすごいですが、岸壁にも注目しよう
明治時代に建設され西洋の技術に九州地方で江戸時代から伝わる技法を組み合わせた天川工法を使い、より頑丈なものに仕上げています
まとめ
日本の発展を支えた軍艦島。現在、見学できるのは島の南側の炭鉱エリアのみ。見学できる時間は1時間程度でしたが、ガイドによる生活者の視点からのエピソードや見どころ解説等、超おもしろかったです。
軍艦島は人々が命を懸けて家族や生活の為に生きてきた軌跡を感じることができる場所。実際に上陸して、その雰囲気を感じることができ、貴重な体験ができました。しかし、その貴重な歴史資産はいつ崩壊してもおかしくない。行くなら今のうちに
最後までご覧いただきありがとうございました。
アクセス
住所:長崎県長崎市高島町端島
上陸は各ツアー会社を利用しましょう。会社名をクリックすると、HPへ移動します。
軍艦島コンシェルジュ
軍艦島クルーズ株式会社
やまさ海運株式会社
シーマン商会