京都市右京区の奥嵯峨にある愛宕念仏寺は、千二百羅漢と呼ばれる数多くの羅漢像が並ぶことで知られています。これらの羅漢像は、一体一体表情やポーズが異なり、中にはサングラスをかけていたり、テニスラケットを持っていたりと、ユーモラスな姿が訪れる人々を和ませます。詳しい様子を写真とともにお伝えします。
羅漢像が彩る神秘的な境内

愛宕念仏寺は嵐山のさらに奥地、心霊スポットとしても有名な鳴滝トンネルのすぐ側に位置しています。境内は、石段を上る造りになっており、道中の両脇には、まるで私たちを出迎えるかのように羅漢像が並んでいます。口角が極端に上がり、目と口がくっつきそうなほどの笑顔の羅漢像もいれば、逆立ちをしたり、サングラスをかけていたりするなどその表情は様々です。厳かな雰囲気のお寺に並ぶユーモラスで遊び心あふれる羅漢像たちは訪れる人の心を和ませ、優しい気持ちにさせてくれます。
愛宕念仏寺に並ぶ羅漢像は普段目にするお地蔵さんよりも2回り以上大きいサイズ感です。



本堂の様子

境内入り口から階段を登り切る形で進むと、国の重要文化財に指定されている本堂に到着します。本堂近くの羅漢像は特に苔が生えており、ヘアースタイルにも思えるほどモサモサです。また壁を形成するように無数の羅漢像が密集しており一番見応えがありました。
印象的だったのが、参拝者の多くが外国人であったこと。外国の京都観光ガイドブックに愛宕念仏寺が掲載されているのかな。



本堂から少しのぼったところにある多宝塔にはでっぷりとした石造のお釈迦様が鎮座。こちらもゆるキャラみたいで可愛い。

愛宕念仏寺の羅漢像に秘められた物語
かつては京都一の荒寺と呼ばれた愛宕念仏寺
愛宕念仏寺は、そのユニークな羅漢像で知られる寺院ですが、その歴史は決して平坦なものではありませんでした。かつては「京都一の荒寺」と呼ばれるほど荒廃していた時期があり、現在の美しい姿は、住職の西村公朝氏の尽力による復興の賜物なのです。
参拝者たちが彫った羅漢像

1980年代、西村氏は寺の再興を誓い、その一環として、境内に1200体の羅漢像を建立する壮大なプロジェクトを開始しました。そして、この羅漢像の制作を、一般の参拝者に託すという、画期的な試みを行ったのです。参拝者たちは、住職の指導のもと、自分自身の手で羅漢像を彫り、寺に奉納しました。それぞれの羅漢像には、制作者の願いや想いが込められており、その表情は実に様々です。サングラスをかけていたり、楽器を演奏していたりと、ユーモラスな姿をしているのは、制作者の個性が反映された結果と言えます。
アクセス
住所:京都市右京区嵯峨鳥居本深谷町2-5
TEL:075-285-1549
営業時間:8:00~16:30 年中無休
駐車場:有
まとめ
ユーモアいっぱいでとても可愛らしい羅漢像が並ぶ愛宕念仏寺。一躰一躰違った表情なのは参拝者らがそれぞれの想いで彫り奉納したものだったからでした。ギターを持っていたり、サングラスをかけていたりする個性的な羅漢像もあり、「これは一体なんだ!?」と笑える景色が広がるとても楽しい場所でした。最後までご覧いただきありがとうございました。